プロジェクトストーリー

熊野大花火大会の交通円滑化|三重県

20万人が来場する花火大会の渋滞を緩和するため
道路をバス専用レーンにした交通円滑化を提案。

新たに供用された熊野尾鷲道路で
バスを活用した渋滞緩和を提案

開催元の三重県だけでなく関西や名古屋方面から、毎年20万人もの観光客が来場する熊野大花火大会。ロケーションも良く、海の上で半円状に爆発させる海上自爆は特有で、人気の高いイベントとして広く知られている。問題は当日の交通渋滞だ。平常時と比較し車の交通量は1.5倍に増加するため、毎年大きな悩みの種となっている。
「昨年は国道42号が最大26kmも渋滞し、通過するのに数時間かかる事態に...。開始前に会場に到着できないなど、せっかくの花火を楽しむことができずに帰る観光客も多かったと聞いています。
2013年9月に熊野尾鷲道路が熊野大泊ICまで供用され、会場へのアクセスルートが2つになりました。しかし、会場付近の交通容量は変わらないため、道路が2つに増えても渋滞緩和には寄与しません。また熊野尾鷲道路は山間部を通過するため、約7割がトンネル区間です。換気の心配やトイレ休憩ができないなど、安全面にも支障があります。会場近くで2つの道路がつながる熊野大泊ICでは両方から車が流入するため、交通処理の問題も指摘されていました」
そんな状況下で城所が提案したのは、バスを活用した渋滞緩和策だった。
「道路の数を増やすことはできないし、電車のダイヤ増加も目一杯の状況...。そこでバスの活用を検討しました。国道42号は一般車両の通行、熊野尾鷲道路はバス専用にして通行規制を実施。この結果、大勢の観光客を乗せたバスは渋滞に巻き込まれることなく、花火会場に到着することができました」
例年に比べ渋滞を緩和し、来場者の満足度向上に貢献できたのだ。

pr_traffic02-2.jpg国道42号(赤線)の東側に全線共用されるようになった熊野尾鷲道路(青線)。会場へのルートは2つになったものの、渋滞緩和には工夫が必要だ。

次年度以降の抜本的な解決を目指し、
パーク&バスライドの手法を検討。

この業務ではどんな苦労があったのだろうか。担当の城所に伺ってみた。
「毎年この業務を担当していて、当日は交通渋滞の調査を実施します。交通量や渋滞長の計測だけでなく、ビデオカメラを設置し、映像から渋滞の要因を分析。また、バスがどこを走っているかリアルタイムに把握するため、バスにGPS機器を設置する調査を行います。また、今後はバス会社との調整も課題です。今回は実現しなかったのですが、尾鷲あたりで自家用車を降り、そこからバスで現地に移動する『パーク&バスライド』という手法を検討しています。昨年の花火大会では、実際にバスを借り、モニターを集め、尾鷲から熊野までパーク&バスライドを試行的に実施する取り組みを行いました。パーク&バスライドを本格的に導入するためには、利用者数の確保や料金設定などバス会社との交渉が必要。事業性を担保しなければならず、実現にはいくつかのハードルがあると思います」
渋滞を減らす。事故を起こさない。交通に関するあらゆる不都合を改善したいという城所。来年は盛大な技術の花火を打ち上げてくれるにちがいない。

(2015年5月)

城所 貴之(きどころ・たかゆき)

中部支社 技術部 副主幹 東京都立大学大学院了
配属された中部支社で交通に関する業務に従事。外部の財団へ2年間の出向を経た後、中部支社に戻り現在は交通安全対策や渋滞対策などに幅広く携わる。

城所 貴之(きどころ・たかゆき)

中部支社 技術部 副主幹 東京都立大学大学院了

配属された中部支社で交通に関する業務に従事。外部の財団へ2年間の出向を経た後、中部支社に戻り現在は交通安全対策や渋滞対策などに幅広く携わる。

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