プロジェクトストーリー

伊豆大島土砂災害避難計画|東京都

“人災”と広く報道された伊豆大島の被災。
土砂災害に向けたハザードマップと避難計画を策定。

新たな技術の活用や専門家との連携で、
災害時の避難方法を「見える化」。

2013年10月、伊豆大島を襲った台風26号に伴う記録的な豪雨により、大規模な土砂災害が発生。36名の死者と3名の行方不明者が犠牲となる大惨事となった。行政の不手際や住民の防災意識への欠如などが露呈し、ニュースや新聞で幾度となく報道されたのはいまだ記憶に新しい。「もともと地域防災計画はあったのですが実用性に乏しく、避難に特化した計画はありませんでした。
そこで人命の保護を目的に、土砂災害ハザードマップと土砂災害避難計画を策定しました。計画にあたり現状を把握するため、GIS※など最新の技術を用いて、災害に対する脆弱性の「見える化」や現地の調査などを行いました。大島町は町民約8000人に対し高齢化率は約35%。そのためGISで町丁目別・年齢層別の人口等を調べ、避難経路などのリスクを把握。また、ユニバーサルデザインの専門会社と協力して避難所の状況を調査し、空調などの設備や建物の構造の状況や、入り口やトイレが車椅子でも通行が可能かなどを調べ確認しました。災害時における行動計画も時系列で分かりやすく見える化。縦軸に行政・住民・関連機関、横軸にタイムラインを作成し、各々どんな行動をとればいいのかが一目瞭然になっています」
主担当者の木村は業務をこうふり返る。
「災害業務であり、工期が約2ヶ月間と非常に短かったこと、東京都と大島町両者の意見を尊重しながら調整するのに苦労しました。その一方、作成したハザードマップが住民に配布され、発注者から感謝の言葉をいただいた時は達成感がありました」
 作成したハザードマップはTVでも放送された。"人災"とも言われた災害であるだけに、世間の関心も高かったのだ。

pr_disasterprevention02-2.jpg
伊豆大島全体と各地区のハザードマップ。島の全世帯に配布した。船のターミナルなど主要施設の目立つ場所にも掲示されている。

行政OBや学識者の協力により、
防災業務の受注を積極的に拡大。

東京都総合防災部や大島町からの受注は初めてのこと。木村はどのようにして、発注者との信頼関係を築いたのだろうか。
「当社では東日本大震災以降、防災関連の事業を数多く手がけてきました。1つはその実績が評価されたこと。また、東京都の行政経験者が情報を収集してくださり、ニーズに対して的確にアプローチできました。学識経験者との共同研究をPRするなど、企画提案書を持って行ったことが信頼につながったのかも知れません。引き続き大島町との関係を継続。今後は気象関係会社と連携し、気象技術を反映した新たな提案等も実施する予定です。国土強靭化など防災のニーズは高まっています。ソフト・ハードを含め防災計画など上位業務を受注するため、国の政策や自治体の動向を見ながら積極的に活動したいですね」
建設コンサルタントは「知的サービス業」という木村。旺盛な好奇心と幅広い視点で、今後も新たな防災ビジネスを展開する。

pr_disasterprevention02-3.jpg町丁目別の高齢化率図。災害時要配慮者が、どの地区にどれだけの人数がいるのかをひと目で分かるよう表現した。

※GIS...GeographicInformationSystemの略。位置・空間などさまざまな情報を重ね合わせ、分析・解析を行い、視覚的に表示させるシステム。近年、その活用範囲は広がっている。

(2015年5月)

木村 美瑛子(きむら・みえこ)

関東支社 防災事業推進室 兼 河川港湾部 技師 首都大学東京大学院了
入社後、関東支社に配属され河川チームに所属。河川・砂防の幅広い業務を担当する。最近は主に防災関連の業務を中心に従事している。

木村 美瑛子(きむら・みえこ)

関東支社 防災事業推進室 兼 河川港湾部 技師 首都大学東京大学院了

入社後、関東支社に配属され河川チームに所属。河川・砂防の幅広い業務を担当する。最近は主に防災関連の業務を中心に従事している。

TOP