プロジェクトストーリー

山陰自動車道 エコロード検討業務|島根県

道路事業による環境への影響を緩和するため、
自然との共生を実現する「エコロード」を計画。

動植物など生態系への影響に配慮し、
道路の環境整備計画を立案。

インフラ開発は大規模な地形改変などを伴うことが多く、自然環境や生態系に多大な影響を与える可能性がある。そのため、動植物を含めた生態系全般への対策の検討が進められてきた。
「道路事業がまとまりのある自然環境を分断してしまう場合、動植物への影響に配慮する必要があります。エコロードとは自然との共存と調和を図るため、動植物の営みをできるだけ分断・縮小・改変しないよう配慮した道路のこと。国土交通省のモデル事業ではいくつかの路線や区間を選定し、道路計画における環境への影響を調査しました。1994年から1997年に実施したエコロード検討業務では、山陰自動車道の一端を担う高規格幹線道路『江津道路』における環境整備計画を立案しました」
そう語る平井はもともと都市計画が専門だった。ところが自然との共生というテーマに導かれ、環境分野に深く関わることになる。
「具体的には動植物の現地調査に始まり、道路事業が及ぼす影響を予測。環境整備の方針・計画をつくった後、保全対策として土工法面への現存種の植栽、希少植物の移植などを行います。哺乳類が通る獣道が道路によって分断されると、そこを横断する術がありません。そのため哺乳類が通過できる施設やロードキル防止に形状を工夫した侵入防止柵、転落個体の這い出しを補助する斜路付き側溝などを計画します。」
ニッチな業務に思えるが、生態系の保全は地球環境にとって重要なテーマだ。平井とエコロードとの付き合いは長期間にわたるものとなる。

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パイプカルバートに小段を設け、タヌキなど哺乳類の横断経路を確保。

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斜路付き枡を設置し、イタチやテンなど側溝に転落した小動物の這い出しに配慮。

保全対策の有効性を検証するため、
試験施工やモニタリングを実施。

動植物が大好きだという平井。だが、この業務には何度も壁にぶつかったと言う。
「当時はインターネットなどありません。動植物の生態などを調べるために、図書館に足を運び専門書を読みあさりました。有用な知見や事例が乏しく、企画提案や予算などクライアントの説得にもすべてが試行錯誤の連続でした。また、動植物が相手なので、頭で考えた保全対策が果たして本当に有効なのかというジレンマに苦しみました。そこでいくつかの対策には効果検証のため、動物の移動経路を試験的に施工してみたり、植物の移植では数ヶ月から数年単位でモニタリングしたりするなど、根気のいる作業となりました」
最後に、これからの自然環境への取り組みについて伺った。
「近年、環境アセスメント※という大きな流れの中で、動植物関連の業務はルーティン化しています。しかし、各現場において課題はさまざま。具体的な保全対策をフィールドで形にする方法を、若手技術者と一緒に考えていきたいと思います」
良い提案・良い仕事には、専門でないことでも、知識や技術をコツコツ身につけることが大切だと話す平井。自然との共生という大きなテーマに挑み続ける。

(2015年5月)

平井 克彦(ひらい・かつひこ)

OC 関西支社 総合計画部 副主幹 東京農業大学卒
前職で河川環境管理計画に携わる。入社後は公園・都市計画に従事、その後は景観・シビックデザイン・エコロード・ISO14001など国のモデル事業を経て、現在は自然環境の業務を主に担当している。

平井 克彦(ひらい・かつひこ)

OC 関西支社 総合計画部 副主幹 東京農業大学卒

前職で河川環境管理計画に携わる。入社後は公園・都市計画に従事、その後は景観・シビックデザイン・エコロード・ISO14001など国のモデル事業を経て、現在は自然環境の業務を主に担当している。

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