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CIM技術による河川構造物のライフサイクルマネジメントの効率化(堰改築事業の事例紹介)

河川・海岸 DX
発注者

国土交通省 九州地方整備局 川内川河川事務所

期間

2020年7月~2022年3月

受賞

国土交通行政功労表彰(事務所長表彰 業務部門)

河川構造物における調査・計画・設計・施工・維持管理といったライフサイクルマネジメントのDX化を、一気通貫で進行。さまざまな業務において、CIM技術を活用した事業の効率化を提案しています。特に、堰の改築設計における業務プロセスの変革は、OCの代表的な事例として、多くの設計業務にて水平展開されています。


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河川構造物のライフサイクル全体に着目し、
CIM技術を活用することで、効率化を目指す。

公共事業においてDX化が推進される一方、その多くは調査・計画・設計・施工・維持管理といった各段階での個別対応であり、真の業務改善サービスを提供できていない状況が続いていました。そこで、河川管理施設のライフサイクルマネジメントを効率化するため、堰の改築設計における業務プロセスの変革に取り組みました。
当初、CIMの作成は業務項目に入っていませんでしたが、大規模事業におけるDX化へのチャレンジは効果が高いと考え、受発注者双方の思いでCIM技術を活用することとなりました。しかし、ただ漠然とCIMモデルを活用するのでは、ただ設計の手間が増えるだけです。まずは効率化すべき対象は何かを第一に考え、検討を進めていきました。その中で、調査・計画・設計・施工・維持管理という「部分」で捉えるのではなく、一気通貫したライフサイクル全体について着目し、その方針に沿った提案を行いました。ライフサイクル全体でCIMを活用するとともに、データが後工程にも引き継がれるよう工夫し、結果として高い評価を得ることができました。

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発注者が3Dモデルを活用しやすい環境を整え、
一気通貫した「真の業務改善サービス」を提供する。

具体的な取り組みとして、地盤情報と杭基礎を3D化し、施工への情報引き継ぎを円滑化することに成功しました。また、4Dシミュレーションによって、事業の全工程をモデル化。施工計画の妥当性チェックを実施しています。従来の2D図面ではわかりにくかった工程を見える化することで、関係者との調整がスムーズに進むようになり、仮施工の抜け漏れ防止にも寄与しました。さらに、ASP(KOLC+)を活用し、発注者が自ら3Dモデルを確認できる環境を提供することで、合意形成の迅速化にも貢献しています。実際に、プロジェクト内でも3Dモデルを活用し、地域と合意形成を図る場面がありました。鉄筋などの各種干渉チェックを行い、設計精度の向上を目指すとともに、施工段階へ作業留意箇所を引き継ぐ一助としても活用しています。
本プロジェクトは、国土交通行政功労表彰(事務所長表彰 業務部門)を受賞。すでにさまざまな設計業務で水平展開されています。次の展開としては、三次元管内図とBIM/CIMモデルを掛け合わせるなど、発注者が日常的に3次元データを見て触れることができる環境を整えることで、「真の業務改善サービス」を提供していきます。

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