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AIによる交通事故リスク予測

交通技術 AI
発注者

首都高速道路株式会社

期間

2019年1月~2020年12月

首都高速道路では毎日、多くの事故が発生しています。そこでOCは、交通事故による損失を減らすため、大学・企業と共同でAIを活用した近未来の交通事故リスクの予測技術を開発しました。すでに検証・実施実験にて精度の高さは証明されており、現在は実装に向けた取り組みを進めています。


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AIを活用した近未来の予測技術で、
首都高速道路の交通事故を減らす。

首都高速道路では年間5000件以上の事故が発生しています。交通事故は単純な事故損失に加えて、交通規制によって引き起こされる渋滞損失もあるため、長期にわたり発生件数を減らする取り組みが検討されてきました。
このような状況の中でOCは、AIを活用した近未来の交通事故リスクの予測技術を、自社資金で開発しました。一部データの提供や実験・実証は、首都高速道路株式会社と共同で実施しました。交通事故リスク予測に関する技術について国立大学法人愛媛大学の吉井樹教授から助言を得つつ、開発に直結するモデルエンジニアリング技術に関しては株式会社エクサウィザーズに協力を仰ぎました。
同技術は、交通事故発生に大きく影響する各種の交通・気象データを参照し、30分から2時間程度先までの近未来に高速道路の指定区間で事故が発生する確率を予測するものです。事故発生確率を事前に予測することで、事故の危険性が高まる区間をあらかじめ把握。それらのデータを適切に活用すれば、事前の迂回ルート提示や該当箇所の監視強化など、道路管理の高度化・効率化に寄与することが可能です。
主要な4路線10区間を対象に、気象庁が公表している正確な降水量や、車両感知器から得られる5分間の交通量・速度等の交通状況、各種交通事故などの8年分のデータを学習することにより開発を行いました。対象日の直前の交通状況や降水量のデータをこの予測モデルに入力することで、2時間先までの事故発生確率が予測可能になります。

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検証や試行実験を通し精度の高さを証明、
実装に向けて情報の活用方法を提案する。

対象の4路線10区間について、予測した事故発生確率の精度を検証。予測モデルの検証は、開発に使用していない2017年のデータを用いて、30分ごとに2時間先までの事故発生を予測し、実際の事故件数から算出した事故発生確率と比較することにより行いました。その結果、AIによる予測技術によって算出された事故発生確率の平均値と、実績の増減傾向とがほぼ一致することが分かりました。また他の区間についても、同様の傾向がみられました。
上記と併せて、オンライン予測の試行実験も実施しています。こちらも予測や集計に要する計算時間や可視化の方法について大きな問題はなく、車両感知器のデータがオンラインで収集できれば、実用に耐えうることが確認できました。
本プロジェクトを通し、AIで事故リスクを予測するシステムを開発し、必要な制度を確保することができました。また予測結果を用いた活用方法についてもOCから提案を行っており、現在は実装に向けた取り組みを進めている段階です。今後は、AIによる事故リスク予測について他地域にも展開。また、幅広い交通課題に対し、積極的にAIを取り入れた提案をしていきます。

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