JCM モンゴル
環境省 地球環境局
期間
1年目 2020年11月~2021年3月
2年目 2021年 8月~2022年3月
3年目 2022年 7月~2023年3月
モンゴル国、ウランバートル市では一次エネルギー消費のほとんどを石炭が占めています。本事業では、札幌市の「脱炭素社会形成」に関する経験やノウハウをもとに、同じく寒冷地であるウランバートル市の建築分野におけるエネルギー削減の普及を促進。エネルギーの確保と環境問題の改善を実現します。
ウランバートル市の深刻な環境問題・エネルギー不足解消に向け、
札幌市と連携し「脱炭素社会形成」に挑む。
モンゴル国ウランバートル市では、熱電供給石炭火力発電所(CHP)や地区暖房石炭焚きボイラー施設(HOB)が利用されており、エネルギー源の約96%が石炭で賄われています。しかし、急速な人口増加により、都市のインフラ整備は追いついていない状況でした。また、CHPやHOB、石炭ストーブなどからの排煙が、呼吸器疾患といった深刻な健康被害をもたらしており、世界有数の大気汚染に晒されている地域として問題になっています。
エネルギーの確保と大気汚染対策という双方の観点から、冬季の暖房用エネルギー負荷の軽減と、都市部での再生可能エネルギーの利用向上を目指すウランバートル市。モンゴル国としても2050年までにネットゼロを達成するという目標のもと、「モンゴル国長期ビジョン2050年」を掲げています。
そこでOCは、ウランバートル市と同様の寒冷地であり、かつ2050年までに二酸化炭素の排出実質ゼロを宣言する自治体である札幌市の「脱炭素社会形成」に関する経験やノウハウを活用。建築分野におけるエネルギー削減技術の普及や促進を中心に支援しています。
本事業は2020年にスタートし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でウランバートル市がロックダウンとなるなか、オンラインでワークショップを進めていました。2022年に渡航が緩和されたことで、徐々に対面での協議も行われています。
OCが持つ海外都市への知識と自国の技術を活かし、
ウランバートル市からモンゴル国、そして世界へ取り組みを拡大。
活動内容は大きく2つに分けられます。1つ目が、ウランバートル市への知見共有と能力向上の支援です。札幌市をはじめとした寒冷地における「地域熱供給システム」の先行事例をもとに、住宅・建築分野のグリーンビルディング仕様の普及や、制度設計のローカライズを現実のものにします。合わせて、室内の空気汚染にかかる環境測定や適切なエネルギーマネジメントの提言、省エネ算定ガイドラインを活用した講座も行っています。
もう1つが、モンゴルの実情に適した、寒冷地における脱炭素型のモデル建築の案件化です。年間のエネルギー消費量の収支ゼロを、室内環境の質を保ちつつ実現するZEB(ゼブ)※・ZEH-M(ゼッチ・マンション)※や、太陽熱・地中熱による熱供給システムを提案。脱炭素型モデル住居をウランバートル市内で広く普及させ、地域モデルケースをつくることで、いずれはモンゴル国内の広範囲へと取り組みを広げていく「脱炭素ドミノ」の実現に貢献していきます。
今後も、OCが持つ海外都市への豊かな知見を活かし、各都市における課題の抽出や特定、自国が持つ技術とのマッチング、そして導入に向けた施策や仕組みづくりの支援を実施します。本事業を足掛かりに、日本の省エネ・再エネ技術や知見をより多くの海外都市へ展開。カーボンニュートラルの実現を、加速度的に進めていきます。
※ZEB:ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略称
※ZEH-M:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称