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フィリピン国南北通勤線延伸事業(設計施工監理)

海外
発注者

フィリピン共和国運輸省(DOTr)

期間

2019年1月〜2025年10月

フィリピン国マニラ首都圏の公共交通システムを強化するため、過酷な気候下において極めて短い工期で、鉄道高架橋および車両基地建設の設計・施工監理業務を担当。日本国内で実績を積んだ多くの技術者が従事し、マニラの交通渋滞緩和や経済発展、市民生活の向上、大気汚染の緩和に貢献しました。


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公共交通システムが不十分なマニラ首都圏において、
国内で培った技術力を活かし、大規模な鉄道を整備。

フィリピン国マニラ首都圏は、アジア諸国の中でも急激な発展を遂げている地域の一つです。しかし、国内の公共交通システムは不十分で、最小限の軌道系公共交通機関しかありません。市民の移動手段は乗合タクシーと長距離バスに限られており、大規模な鉄道の整備が喫緊の課題となっていました。
このような背景をふまえ、フィリピン国政府は援助を要請。日本国政府はこの要請に応え、1兆円を超える融資を約束し、南北通勤線の円借款事業がスタートしました。
これまでに、北方はブラカン州の州都マロロスから、パンパンガ州クラーク国際空港までの51km、南方はマニラ中心部に位置するツツバンからラグナ州カランバまでの66km、総計117kmに及ぶ延伸区間の鉄道を整備しました。その中でOCは、施工監理や修正設計を担当。熱帯モンスーン型気候の過酷な環境下かつ、日本の約4分の1という極めて短工期で行われるプロジェクトということもあり、国内で実績を積んだ技術者が多く従事しています。用地買収による工事の遅延や、国際競争入札の難しさが原因で施工業者の選定は難航しましたが、現在はそれらの課題を解決し、発注者・コンサルタント・施工者が一丸となり工事を進めています。

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国内の建設現場では起こり得ないトラブルにも柔軟に対応し、
海外での実績を積み上げ、活躍の場をさらに拡大していく。

本プロジェクトでは日本以外にも、マレーシアや台湾、インドから、経験豊富な外国人技術者が参加しています。コンクリート圧縮強度の不足、鋼材の強度不足による破断、土留工における切梁の変形、品質規格値を超えた出来形など、日本の建設現場ではめったに起こり得ない事象が日々発生する状況でも、一致団結して課題解決に奔走しました。
橋梁上部工は長大橋を除き、エレクションガーダーによるスパンバイスパン架設工法を採用。桁は、プレキャストセグメントボックスガーダーをヤードで製作して現地へ運搬、架設しています。この過程において、設計・製作・架設・品質管理のデータを蓄積してきました。これらの成果は、国際学会ほか社外への論文投稿により一部公開されています。
本事業は、マニラ首都圏における交通渋滞の緩和や経済圏の拡大、市民生活の質の向上、大気汚染や気候変動の緩和への貢献が期待されています。OCとしても、難題を解決する中で、現地関係者との人脈や協働メンバー間の絆を築くことができました。今回の経験を活かし、フィリピン国において計画されている他鉄道路線の業務への参加や、他の東南アジア諸国での鉄道コンサルタント業務への展開につなげます。加えて、海外での実績を積み上げていくことで、国内で活躍するOCエンジニアの人材育成の場、そして新たな活躍の場所をさらに拡大していきます。

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