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AI・IoT技術による河川空間のエリアマネジメントの高度化

河川・海岸 UAV測量 リニューアル
発注者

自主事業(株式会社オリエンタルコンサルタンツ・株式会社スカイマティクス)

期間

2021年10月〜

AI・IoT技術による河川空間のエリアマネジメントの高度化を目指し、刻々と変化する河道状況に対して、適時の対策判断を可能とするため、比較的安価かつ高い頻度で撮影されている衛星画像を活用。複数時期でのAI解析により河川管理で留意すべき点を見える化し、河道の状態把握や対策箇所の抽出を円滑に行えるようにしました。


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衛星画像の活用やAI解析を駆使し、
河道の経年変化を簡便に把握できるスキームを構築。

自然災害が激甚化・頻発化する中で、より一層、河川管理の重要性が高まっています。その反面、“経験工学”といわれている河川分野の熟練技術者をはじめとした河川管理者は、年々減少する傾向にあります。長大な延長をもつ河川の状況を、平常時・出水時ともに正しく把握するには、相当な労力と時間がかかり、限られた河川管理者のみで実施するのは困難を極めます。そういった状況の中で、刻々と変化する河道状況を効率的かつ効果的に把握し、適時の対策を実施するためには、DX技術を活用した河川空間のエリアマネジメントが必要不可欠であると考え、本プロジェクトを開始しました。
近年、撮影頻度の増加や、小型衛星の打ち上げに伴い、衛生画像は比較的安価かつ、容易に、サブスクリプションで入手することができます。以前よりも発展を遂げている衛星等リモートセンシング技術から着想を得て、これらの技術を河川管理の課題に活かせる方法を模索しました。OCと株式会社スカイマティクスとの協働による自主開発事業として、河道状況や樹木繁茂状況に対応して適時判断ができるようになることを目的に、衛星画像とAIによる画像解析によって、河道の経年変化を簡便に把握できるスキームを構築しました。
OCはこれまで、定期縦横断測量や航空写真、植生調査などを用いて、河川全体の変化を把握・評価してきました。しかし、これらの測量や調査は3〜5年間隔で実施されており、状態把握や評価、対策段階に時間的なズレが生じるため、適切かつ適時の対策は困難でした。一方で、本プロジェクトのスキームや技術を活用すれば、状態把握・評価・対策判断の時間的ズレを解消することが可能となります。

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独自のクラウドシステムやUAV測量を組み合わせ、
河川におけるエリアマネジメントの高度化を目指す。

本プロジェクトにおいては、AIを活用して水域・砂礫・草木・樹類などの自動判読解析を実施しました。河道内の変化パターンの抽出条件を設定し、対策候補箇所にアラートを表示する仕組みを検討しました。対策候補箇所のさらなる状況把握が必要になった際には、UAVによる詳細把握を組み合わせることで、さらに効率的な状態把握・評価の手順を確立しました。AIによる画像解析と対策候補箇所の抽出をワンストップで行えるため、既存手法よりも定量的かつ迅速な対策判断が可能です。
また、各種画像の一元管理やAI解析などを備えたクラウドシステム「SRiM(スリム)」を構築して、データ容量の大きい画像ファイルや点群データも簡便に閲覧できるため、対策判断へ活用しやすいのが特徴です。これにより、河川管理者による、河川空間全体へのエリアマネジメントを支援することができます。
これから先、より早期に河道変化の予兆現象を把握するためには、河床材料の変化や植生の繁茂状況の変化をさらに細かく捉える必要があります。OCは、これら分類の詳細化や可視光以外の衛星データの活用により、河川空間のエリアマネジメントについて、さらなる効率化・高度化を図ります。また、さまざまな特性を持つ各地域の河川に対して、本技術の適用を検討していきます。今後も当社が持つ、AIによる河道変化把握の自動化技術やクラウドシステムなどのDX技術を発展させていき、課題解決へとつなげていきます。

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