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AI技術を活用した交通事故分析手法

交通技術 AI
発注者

関東地方整備局 東京国道事務所

期間

2021年4月〜2022年3月

受賞

令和4年度インフラDX大賞(工事・業務部門)優秀賞

従来の目視による交通事故分析は、観測者の人為的な作業であるため効率が悪く、主観的な判断が混じってしまうという問題がありました。そこでAI技術を活用したビデオの解析と、ドライブレコーダーの映像を用いた分析を実施することで、事故発生要因の解明に有用な危険事象を抽出し、対策立案を行う手法を確立しました。


                                2177
Point1

AI技術を活用した交通分析手法を導入し、
より客観的で正確な危険事象の抽出を可能にする。

従来の交通事故分析では、交通状況を目視で観測し、観測者が事故発生要因を推察して対策を立案してきました。これらは人為的な作業であることから、相当な時間を要します。また、観測者の主観的な判断が入ってしまうことから、精度にも課題が残っていました。特に、東京都内の事故多発交差点は交通状況が複雑なため、これまで通りの目視観測では、事故発生要因が解明できないケースも少なくありません。
そこで、AI技術を活用した交通分析手法を導入。事故実績データに基づいて設定した指標から、客観的で正確な危険事象の抽出が可能になるとともに、膨大な映像データの分析時間を以前の5分の1まで減らすことができました。

Point2

データとデジタル技術を活用した分析手法を横展開し、
多くの事故現場で、より実効性の高い対策を実施する。

本分析手法では、AIによる危険事象分析と、ドライブレコーダーで捉えたドライバーの視認性や運転状況の分析を組み合わせることで、事故原因の解明に有用な危険事象を網羅的に特定しています。これにより、交通事故発生メカニズムの全容解明につながり、実効性の高い対策立案ができるようになりました。なお、本プロジェクトの分析結果は有識者や道路管理者、および交通管理者をメンバーとした委員会で提示し、有用な分析手法であるとの評価を得ています。
この業務におけるAI技術を活用した交通事故分析手法について、国土交通省が主催する「令和4年度インフラDX大賞(工事・業務部門)優秀賞」を受賞しました。同賞は、インフラ分野において、データとデジタル技術を活用し、建設生産プロセスの高度化、効率化、国民サービスの向上につながるベストプラクティスを水平展開するため、2022年に創設されたものです。本業務も先述のような内容を認められ受賞にいたりました。
データとデジタル技術を活用した本手法が横展開されることで、今後の分析プロセスの高度化・効率化などの改革が進み、より一層の交通事故削減を図ることができます。これから先、交通事故が減らない交差点をはじめとした現場においても、実効性の高い事故対策が期待できます。さらなる技術開発に注力し、安全・安心な交通社会の実現に貢献していきます。

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