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防災DXによる災害時の防災行政マネジメントの支援検証

都市・地域防災 DX 防災行政マネジメント
発注者

東京都八丈町

期間

2021年9月~2021年10月

受賞

第8回ジャパン・レジリエンス・アワード最優秀賞

2021年5月に災害対策基本法が改正され「避難勧告」と「避難指示(緊急)」が「避難指示」として一本化されました。市民の避難対応を行う自治体職員が少子高齢化で減少する中、OCは災害時の円滑かつ効率的な情報収集・伝達を可能にする防災マネジメントシステムを開発。2021年には八丈町で社会実験を行いました。


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人命に大きく関わる災害発生時の情報収集・伝達を、
防災情報マネジメントシステムで効率的に行う。

近年、新型コロナウイルスの感染拡大により、体調不良者の管理や3密防止など、避難所運営に求められるマネジメントは多様化・高度化しています。また職員は、避難所の状況管理や、災害発生時の情報収集・共有も同時に行わなければいけません。人材が不足している中で、いかに防災行政を円滑化し、情報の収集や伝達のタイムラグをなくすかが大きな課題となっていました。
災害対応における各フェーズのうち、特に重要視されているのが「災害発生時」です。本フェーズは、市民の命を守るカギとなる一方で、錯綜する情報の管理に追われ、職員の負担は重くなります。そこでOCは「防災DX化」による、災害発生時の「情報マネジメント」に着目。迅速かつ分かりやすく、そして漏れのない情報共有を可能にする、防災行政マネジメントシステムの開発を検討しています。
同システムは、スマートフォンやタブレット端末から容易に入力できるため、各避難場所および災害対策本部、災害現場の情報を簡単に一元管理することができます。さらに、集約された各避難場所の開設・混雑・在庫状況や、災害現場の状況などを地図上に表示することで「見える化」し、リアルタイムでの状況把握や共有を可能としました。加えて、文字情報に限らず、写真や動画も共有できるのが特徴です。
2021年9月には、東京都八丈町にて同システムを導入した社会実験を実施しました。台風16号が接近する前日から、通過した翌日までの4日間にわたり、OC職員4名を職場と避難所に派遣。現地にて、システムを活用した防災行政マネジメント支援と検証を行いました。

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八丈町での社会実験を通し見えてきた効果と課題、
激甚化・頻発化する災害に防災のDX化で対応する。

八丈町での試行導入を通し、事前に想定していた通りのメリットが得られることが分かっています。例えば、電話でのやり取りが少なくなることで、対策本部と避難所との情報の送受・共有を効率的かつ負担少なく行うことができました。また、リアルタイム情報が地図上に表示されるため、被災箇所の情報把握や共有がしやすいほか、この情報を対外的な報告や広報にも活用できます。災害時の対応を記録に残すことで、今後の改善に活かすことができるのも大きなメリットといえます。
一方で、職員がシステムの内容を利活用するためには、事前の準備が必要だということが分かりました。また、今回は台風における風水害を対象としたシステム構築を行いましたが、自治体の規模や災害の種類に応じて、多様な行政の動きやニーズに対応する必要があることも課題として明らかになりました。前者については、操作マニュアルの作成や講習会の実施、日常業務での使用等を通し、ノウハウの蓄積を行うことで解決できると考えています。今後は、後にあげた課題に対応するべく、各自治体で想定しうるハザードの整理や現状の防災行政に対する分析を行ったうえで、顧客の課題・要望に対応できる「オーダーメイドシステム」へと発展させていく予定です。
災害が激甚化・頻発化する中で、住民への避難対応を行う基礎自治体の職員は、少子高齢化によりますます減少していくことが予想されます。そのため、避難を効率化・円滑化するための防災DX導入は必須であり、このような取り組みを全国へと展開していかなくてはなりません。DXのさらなる推進に向け、OCは、ITや空間情報技術など多種多様な専門家と連携しながら、幅広い視点で検討を進めていきます。

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