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ECI方式を活用した橋梁補修設計による事業効率化

構造/保全 ECI方式
発注者

国土交通省 九州地方整備局 鹿児島国道事務所

期間

2019年7月~2021年3月

受賞

国土交通行政功労表彰(事務所長表彰 業務部門)

鹿児島県薩摩川内市の天大橋は、補修設計に際し、極めて高度で専門的な技術を活用する必要がありました。そこで本プロジェクトでは、技術力で企業を選定する「ECI方式」を採用しています。ただ現状を改善するだけではなく、さらにその先の経年劣化も想定した補修工事を、効率的かつ安全に、社会への影響も抑えて実施しました。


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難易度が高い橋梁の補修設計にECI方式を採用、
高度な技術により、将来的な劣化にも対応する。

地方公共団体に対する支援として、緊急な対応が必要かつ高度な知識を要する施設について、地方整備局・国土技術政策総合研究所・土木研究所の職員等で構成する「道路メンテンス技術集団」が直轄診断を実施しています。OCは、2018年に実施された直轄診断の結果をふまえ、鹿児島県薩摩川内市内の天大橋の補修設計を行いました。
本業務は、極めて高度で専門的な技術を活用する必要があり、発注者側での工法選定が困難でした。そのため、技術力で企業選定し、価格や工法などを交渉して契約する「ECI方式」が採用されています。
中央のヒンジ部分に垂れ下がりが見られた、ポステン箱桁部の補修工事では、3次元レーザーによる桁形状の計測やASR試験、塩分含有量試験、中性化試験等を綿密に行い、将来どのくらい劣化するかを正確に診断。あわせて、時間依存性解析を用いて将来的な垂れ下がり量を算出したうえで、その抑制として中央ヒンジ部分の連続化を採用しました。特にASR反応が顕著にみられた河川内橋脚については、耐荷力の低下を防ぐと同時に、今後の耐震補強を見据え、レベル2地震動に対する補強量での巻き立て工法を採用しました。また、プレテン床版部を含めた上部工のASR対策として、橋面防水工や歩道部のセミフラット化等の設計を行っています。

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全国的にも設計実績の少ない業務方式に挑む、
これから先の社会において「好事例」となる修繕維持。

ECI方式での工事発注となったポステン箱桁部においては、専門部会議資料の作成も担っています。施工予定者の技術提案や三者協議をふまえ、モニタリング技術も反映させた設計を行いました。なお設計・施工については、国土技術政策総合研究所や学識経験者の助言も受けながら進めています。
本プロジェクトにおいて、ECI方式を用いることで、①安全・安心なインフラの整備、②通行止め期間の最小化、③工事の品質・安全確保という3つの成果を創出することができました。
天大橋は、九州地方整備局管内の橋梁補修設計業務の中で、国道3号橋に次いで2番目のECI業務であり、全国的にも設計実績の少ない業務方式でした。本プロジェクトにて採用された設計方法やECI業務発注は、全国に対する好事例になると考えられます。
今後、橋梁の老朽化がさらに深刻な社会問題になると予想されています。限られた予算の中で維持修繕を計画的に実施するために。高度で専門的な技術を活用する必要がある橋梁について、ECI方式での工事発注を提案し、社会影響を最小限に抑えた、安全・安心な既存インフラ施設の整備を行っていきます。

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