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グリーンスローモビリティ(自動運転)の導入によるバス運行の再構築

交通政策 スマートシティ
発注者

自主事業(株式会社オリエンタルコンサルタンツ)・アイサンテクノロジー株式会社

期間

2020年9月~2022年11月

塩尻市では、コミュニティバスを中心とした地域公共交通が運用されていますが、ドライバーの担い手不足や、移動ニーズと実際の路線・ダイヤとの乖離などいくつかの課題が存在していました。そこで、最先端のEVバス型自動運転車両の社会実装に向け、地域住民の理解および社会受容性向上を目標に、試乗会などを行っています。


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路線やダイヤに縛られない公共交通機関の確保に向け、
EVバス型自動運転車両の社会実験・試乗会を実施。

日本の都市は、平成の大合併により広域化が進んでいます。過疎地域を抱える都市は、少子高齢化による人口減少と環境問題に対応するため、広域対応と集住を促すコンパクトシティ化の両方に取り組まなければいけません。
長野県塩尻市は2つのJR駅を持つ、中心部の市街地とその周辺に点在する農山村地域からなるコンパクトな田園都市です。主な地域公共交通としてコミュニティバスが運用されていますが、近年はドライバーの担い手不足や、移動ニーズと路線・ダイヤの乖離などの課題解決が急務となっていました。
そこで、地域の問題を解消すべく、2020年に「塩尻MaaSプロジェクト」を開始。既定の経路や時刻表のないオンデマンドバスおよび自動運転実証を、官民連携で行っています。
2021年には、EVバス型自動運転車両を市街地の一般公道で走らせる社会実験を実施しました。※EV車両を用いた「自動運転レベル2」の実証走行は長野県内でも初の試みです。操作の責任は運転者が持ったうえで、特定の条件下においてハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作をシステムが自動で実行。自動運転技術とグリーンスローモビリティの実験を兼ねて、低速(時速約20km)で一般公道を走行しました。また、市民を対象とした試乗会も開催し、自動運転車両に対する社会受容性の醸成と、環境への意識向上を図りました。
2022年11月には、地元の小学4年生から6年生を対象にした自動運転試乗会を行う予定です。試乗会の前には、自動運転車両に関する小学生向けの講座を開催。地域の教育関係機関において、自動運転サービスの特徴・必要性などの教育をし、子どもたちを通して家庭内・地域内へと意識を広げていきます。

※EV:Electric Vehicle/電気自動車

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住民や来訪者、すべての人が「自由」に移動できる社会へ、
高度自動運転サービスの社会実装に向け知見を蓄積。

2021年までに実施した試乗会では、延べ約400人に新しいモビリティを体験いただくことで、自動運転サービスに対する理解と社会受容性を醸成することができました。あわせて低速EVバス型自動運転車両(グリーンスローモビリティ)を使用することで、低速車両が道路に混在することへの理解促進や、環境意識を高めることもできました。
一方で試乗会参加者へのアンケートを通し、業務といった時間価値が高い移動には適さないことや、市民が抱える自動運転システムに対する不安など、いくつかの課題点も見えてきました。市民の方からいただいた貴重な意見を参考に、システムの改善や運行ルートの検討など、今後取り組んでいくべき事象を洗い出していく予定です。
今後は、自動運転サービスを身近なものと感じてもらい、自由に移動出来る社会への期待感を高めていくことを目標としています。新しいモビリティの技術導入に向けた検証を進め、住民・来訪者といったすべての人の暮らしを豊かにするために。2025年に社会実装を予定している、高度自動運転サービスのフィージビリティスタディとして本プロジェクトを進めていきます。そして、塩尻市で得られた知見を活かし、各地域の規模や特性に応じた交通まちづくりを推進します。

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