道の駅まえばし赤城におけるPFI事業の取り組み

群馬県の県庁所在地でもある前橋市は、全国的にも知名度が高い伊香保温泉にはじまり、草津温泉や尾瀬などの名所が周辺に点在していること、また東京近郊でもあるため、際立った観光地ではありませんでした。しかしながら、前橋の農業出荷率は県内でも有数であり、他にも隠された魅力が多く存在しています。そこで、上武道路の開通やそれに伴う関越自動車のスマートICの整備にあわせ、前橋市の新たなショーウインドウとしての道の駅整備が進んでいました。
OCでは2014年から、県内最大の運動公園でありJリーグのホームタウンの「県立敷島公園」のほか、100％子会社である株式会社オリエンタル群馬を設立し、日本一懐かしい遊園地として「前橋市中央児童遊園：るなぱあく」の運営管理を実施。早くから地域と連携・協働し地域活性化の実績が評価され、事業者に選定されました。
事業を進めるにあたり、株式会社オリエンタル群馬と、地元の建設会社である株式会社ヤマトとの共同出資により「道の駅 まえばし赤城」の運営事業者となる特別目的会社（SPC）として株式会社ロードステーション前橋上武（特別目的会社）を設立。OCとして初のSPC設立に際し、企業理念や多くの要件に関して、互いに齟齬が出ないよう、実務者間で多くの議論を重ねました。
東京ドームの1.5倍という、日本最大規模を有する「道の駅 まえばし赤城」。OCは、外構全体の基本・実施設計を一体的に担当しています。環境に配慮しつつも使いやすく、道の駅として魅力があり、多くの人にとって心地の良い空間形成を目的に、中部支社や関東支社の力も借りながら事業を進めました。
あわせて、土木工事の施工監理業務として、進捗管理やデザイン監理も担っています。例えば、植栽については、山奥にある圃場まで行き、植物の選定を行いました。

本案件はPFI事業として、OCをはじめとした民間企業が施設整備を担当。完成した施設を前橋市に寄付し、その後の15年間の運営管理を担当します。これにより、計画段階から事業に携われるため、あらかじめ使い方を想定したうえで、運営のしやすい施設整備を行うことができました。また、地元の小学校や企業などとも連携しながら、地域活性化や観光・農業振興の拠点整備を進めています。
「道の駅 まえばし赤城」は、1198番目に登録されました。これほどの施設規模で、事業手法として民間提案から始まった道の駅整備は、あまり例がありません。その中でOCは、地域活性化推進部で経験し、蓄積したノウハウを活用しつつ担当しています。また、関東支社の環境部においては、社会イノベーション推進室も加えて、農作物の加工・販売や、生産の検討を実施。農産物直売所の経営のため地元生産者と組合をつくるなど、少しずつ準備を進めています。生産者の所得増や、コロナ禍で経営が厳しい飲食事業者の売上増へ貢献し、成果を生む。地域の課題に対し、コンサルタントと事業者という両方の立場から向き合えるこの事業は、まさに「建設コンサルタントを超えた」取り組みだといえます。
北関東には全国でも有数の道の駅、田園プラザ川場やららん藤岡などがあります。魅力度ランキングで上位に食い込んでいけるよう、道の駅間で連携をし、群馬をはじめとした北関東の魅力向上に寄与できればと考えています。さらに、前橋では、デジタル田園都市国家構想に関連してデジタルの積極的な活用を推進しています。最新技術を取り入れながら、今までにない「新たな道の駅」を創造することも、一つの目標です。社内の他部署・他事業所と連携し、現在OCが同地域で管理運営をしている「県立敷島公園」や「前橋市中央児童遊園 るなぱあく」も含め、地域経営という視点から総合化を進めていければと思います。エリアの課題解決も含め、暮らしの質の向上といった新しい価値を創造できるように。数ある道の駅の再生をはじめ、持続的に地域経済を活性化していくノウハウを蓄積し、社会に還元していきます。